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溶けるチーズと溶けないチーズの違い ナチュラルとプロセスの差なの?
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まき釜で焼いたピッツァの上に乗ったトロトロのチーズ。
野菜やハム、チーズをはさんだ昼食のサンドイッチ。
溶けるチーズと溶けないチーズの違いはどこにあるのでしょうか?
あるサイトでは、
溶けるチーズはナチュラルチーズ、
溶けないチーズはナチュラルチーズを加工して作ったプロセスチーズ!
と言ってますが、これは間違いです。
ナチュラルチーズにもカッテージチーズのように
溶けないチーズもあれば、
シート状チーズのとろけるスライスのように
溶けるプロセスチーズもあります。
では、溶けるチーズと溶けないチーズはどこに違いがあるのでしょうか?
- ナチュラルチーズではなにの違いで溶けるかどうか決まるのか?
- プロセスチーズでは作る工程により違いが出てくるのか?
ちょっと調べてみました。
ナチュラルチーズの溶ける・溶けないの違いはどこから?
ナチュラルチーズにはたくさんの種類がありますが、すべてのナチュラルチーズが溶けるわけではありません。
羊や山羊の乳から作られるギリシアのチーズフェタ
カッテージチーズやリコッタチーズ
インド・パキスタンなどで作られるパニール
などは溶けません。
逆に、
ピザによくトッピングされるモッツアレラ
料理名にもなっているラクレット
はトロトロに溶けます。
チェダーやゴーダも、かなり柔らかくなりますし、パルミジャーノ・レッジャーノなどは溶けるというより少し柔らかくなる程度です。
この違いはどこから来るのでしょうか?
結論から言うと、
例外もあるのですが
ナチュラルチーズにおける溶けやすさは、チーズに含まれるカルシウムの量でおおよそ決まります。
カルシウム含量がチーズ100gあたり、500㎎未満ですと溶けずに、かえって引き締まってしまいます。
- 例:カッテージチーズ、リコッタなど主に酸で凝固させたチーズ
- 例外:カマンベールチーズは白カビの酵素の力で加熱しなくても熟成がすすむと溶ける
カルシウム含量がチーズ100gあたり、500~700㎎ですと、非常に溶け具合が大きくなり流れ出すほどになります。
- 例:モッツアレラ、ラクレット
カルシウム含量がチーズ100gあたり、700~1000㎎ですと、かなり溶けますが流れ出すほどではありません。
- 例:ゴーダ、チェダーなどセミハード系のチーズ
カルシウム含量がチーズ100gあたり、1000㎎以上ですと、少し柔らかくなる程度になります。
- 例:パルミジャーノ・レッジャーノ、ペコリーノ・ロマーノなどハード系のチーズ
チーズの主原料は牛や羊、ヤギの乳です。
乳の中で、チーズのもととなる主要な物質はカゼインと呼ばれる乳の中のタンパク質と脂質(脂肪)です。
(牛)乳の中で、カゼインはリン酸カルシウムを接着剤として複数つながっており、その中に脂肪分を取り込んだ丸い粒子として存在しています。
カゼインは4種類あり、うち3種類はカルシウムイオンがあると沈殿しやすいのですが、粒子の表面をカルシウムイオンがあっても沈殿せず、水に溶けやすい『kカゼイン』がおおっています。
そのため、牛乳はタンパク質や脂質が多く含まれていても分離せず、均一に溶けた液体状態でいられるのです。
牛乳からチーズを作るときには、乳酸菌やレンネットと呼ばれる酵素を使用します。
乳酸菌の働きでpHが低くなる(酸性になる)と、接着剤であるリン酸カルシウムが溶けだして、カルシウムイオンが増えます。
この状態で、レンネットを加えると、レンネットの酵素は粒子表面の『kカゼイン』に作用して水に溶けやすい部分を切り取ってしまいます。
水に溶けにくくなった粒子はカルシウムイオンを介して次々にくっついていってプリン状になります。
これをカットし、型詰めし、圧力を加えて余分な水分を抜き、塩を加えて熟成させることでチーズが出来上がります。
リン酸カルシウムが抜けて脆弱になったチーズを加熱すると、中に取りこんでいた脂肪が溶けだし、カゼインがつながった状態のチーズの流動性が増します。
これが溶けやすいということです。
ナチュラルチーズの溶け具合は、
- カゼインをつなぐ接着剤であるリン酸カルシウムがpHが低くなることでどのくらい外れるのか
- 熟成中に水分が飛んでどのくらいカルシウムが濃縮されるのか
- 熟成中にカゼインがどのくらい分解されているか
によって決まってくるのです。
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プロセスチーズの溶ける・溶けないの違いはどこから?
プロセスチーズの原料はナチュラルチーズです。
1種類だけ使うものもあれば、数種類のナチュラルチーズを混ぜて使うこともあります。
作り方は、
原料となるナチュラルチーズを砕き、
乳化剤を加えて加熱・冷却させて作ります。
プロセスチーズを作るのに基本的に重要な要素は、使用する乳化剤の種類や量になります。
通常の作り方をしたプロセスチーズは、熱で溶けません。
とろけるタイプのプロセスチーズを作るには、
乳化剤の種類や量に加えて、
原料となるチーズの種類や性質、
加熱撹拌時の条件
などさまざまな条件やタイミングをいろいろ試行錯誤した結果、苦心の末に生み出されたものなのです。
いかがでしたでしょうか?
一口にチーズと言っても奥が深い食べ物なのですね。
最後までご覧いただきありがとうございました。
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